
みなさま、今夜もお疲れさまです。
寝る前、もう少しだけ何か読みたい。
でも、続きが気になって眠れなくなるような長い漫画を読む気分ではない。
そんな夜にちょうどよかったのが、嶽まいこさんの漫画『なんてことないふつうの夜に』です。
収録されているのは、夜を舞台にした12の短編。
会社員や高校生、漫画家、おばあちゃんなど老若男女さまざまな人が主人公になり、日常的な話から、吸血鬼やアンドロイド、魔法少女が登場するちょっと不思議な話まで楽しめます。
設定だけ見るとかなり変わった話もあるのに、どの話にも普段の生活の延長のような温かさがあるのが好きなところ。
一話完結なので、仕事や家事が終わった夜に一話だけ読むのにもぴったりです。

寝れない夜や、疲れた夜にベッドの上で読んでみてほしい漫画。
『なんてことないふつうの夜に』ってどんな漫画?
『なんてことないふつうの夜に』は、嶽まいこさんによる全1巻の短編集です。
2016年に祥伝社から発売され、全部で12編の物語が収録されています。
共通しているのは「夜」。
でも、すべてが睡眠をテーマにしているわけではありません。
出張先のホテルで過ごす夜。
結婚を控えた女性がネットを眺める夜。
魔法少女たちが世界を救う夜。
終電で寝過ごしてしまった会社員の夜。
締め切りに追われて3徹している漫画家の夜。
同じ「夜」でも、主人公もシチュエーションも毎回まったく違います。
あとがきでは、作者の嶽まいこさんが深夜のタクシーや帰りの電車の中などで思いついた話を描いていることにも触れられています。
一日の終わりにぼんやり考えたことが、そのまま少しだけ不思議な方向へ転がっていったような12編です。

日常の話だけが続くわけでも、ファンタジーだけが続くわけでもないので、次はどんな夜になるのか楽しみながら読める。
普通なのにちょっと不思議!『なんてことないふつうの夜に』の好きなところ
吸血鬼でも、女子会で話すことは意外と普通
特に好きだったのが、第7夜「ハングリーガールの憂鬱」です。
登場するのは、吸血鬼の女性たち。
吸血鬼という時点で普通の日常漫画ではないのですが、彼女たちが集まって話している内容は意外なほど身近です。
主人公は新進気鋭の女社長。
そんな彼女の悩みのひとつが、300歳になっても彼氏がいないこと。
女性たちが集まって近況を話しながら、300歳の誕生日も祝います。
「吸血鬼」という非日常的な設定なのに、やっていることは友達同士の女子会に近い。
この不思議な存在と普通の日常の組み合わせが、この漫画らしくて好きです。
おしゃれなおばあちゃんにも、誰にも見せたくない部屋がある
第8夜「おばあちゃんのサンクチュアリ」の主人公は、ハンドメイドが得意なおばあちゃん。
作ったものは孫を通じて販売されるほどで、家での暮らしもおしゃれです。
そんなおばあちゃんの家には、「アトリエ」と呼ばれている部屋があります。
でも、そこだけは誰にも入ってほしくない秘密の場所。
いくつになっても、家族にも見せずに自分だけで楽しみたいものがある。
その秘密が何なのかは、読んでからのお楽しみです。
おばあちゃんだから落ち着いた趣味を持っているはず、と決めつけず、一人の人として「好きなもの」がある。
そんな描き方も印象に残りました。
締め切り直前の漫画家のところへ「睡魔」がやってくる
第11夜「わたしの睡魔」では、3徹中の漫画家が登場します。
原稿は締め切り間近。
でも、当然ながら眠気は限界です。
そんな漫画家の前に、スーツ姿で名刺を持って現れたのが「睡魔」。
眠気をただの感覚として描くのではなく、睡魔そのものが目の前に現れるという不思議な話になっています。
締め切りに追われる漫画家というかなり現実的な状況に、突然ファンタジーが入り込んでくる。
本作には、こうした「現実の延長にちょっとだけ変なことが起こる」話がいくつもあります。
アンドロイドの恋人が普及した世界や、昼は高校生として過ごしながら夜は世界を救う魔法少女たちも登場。
設定はバラバラなのに、読んでいて極端に緊張するような話にはならないのが不思議です。
老若男女、毎回違う人の「夜」をのぞける
本作には、一人の主人公がいません。
結婚を控えた会社員。
終電で寝過ごしたサラリーマン。
高校生の魔法少女。
おばあちゃん。
漫画家。
猫と一緒に不思議な夜を過ごす少年。
年齢も性別も生活も違う人たちが、それぞれの夜を過ごしています。
一話ごとに主人公が変わるので、「次は誰の夜だろう」とページをめくれるのも短編集ならでは。
一つひとつの話も長くありません。
寝る前に「今日は一話だけ」と区切って読みやすく、長編漫画を読むほどの元気が残っていない夜にも手に取りやすいです。
最後は、別々の物語にいた人たちが集まる
12編を読み終わったあとには、描き下ろしの4コマ漫画「打ち上げ編」も収録されています。
それまで別々の話に登場していた人たちが集まり、交流するおまけ漫画です。
本編では接点のなかった登場人物たちが同じ場所にいるので、読み終えたあとにもう一度それぞれの話を思い出せます。
短編集なのに、最後に登場人物たちが少しだけつながる。
12の夜を順番にのぞいてきた最後のおまけとして、好きな部分です。

目次からタイトルだけで選ぶのも面白いかも。
こんな人におすすめ
『なんてことないふつうの夜に』は、寝る前に気軽に読める漫画を探している人に特におすすめです。
・一話完結の短編集が好き
・日常に少しだけ不思議なものが混ざる話が好き
・大きな事件が続く漫画より、穏やかに読める作品が好き
・老若男女いろいろな主人公の話を読みたい
・寝る前に一話ずつ漫画を読みたい
・長編漫画を読む元気がない夜にも楽しめる作品を探している
という人には合いやすいと思います。
吸血鬼やアンドロイド、魔法少女なども登場しますが、本格的なファンタジー作品とは少し違います。
不思議な設定の中でも描かれるのは、恋人のことだったり、仕事だったり、自分だけの好きなものだったり。
変わった世界の中に、普通の人とあまり変わらない生活があるのが面白い作品です。
まとめ
『なんてことないふつうの夜に』には、12のまったく違う夜が収録されています。
ごく普通の会社員が登場したかと思えば、次の話ではアンドロイドや魔法少女、吸血鬼が当たり前のように登場します。
エレクトリック恋人がいたり、漫画家の前に睡魔が現れたりと、現実から少し離れた話もあります。
それでも、作品全体の雰囲気は一貫して穏やか。
布団に入るにはまだ少し早いけれど、もう何かを頑張る時間でもない。
そんな夜に一話だけ読んで、そのまま眠りたくなる短編集です。

「なんてことないふつうの夜」の中に、ほんの少しだけ不思議なものが紛れ込んでいるという感じ。
個人的な評価
| 項目 | 評価 | ひとこと |
|---|---|---|
| 癒し | ★★★★☆ | 不思議な出来事が起きても、全体を通して穏やかに読める |
| コメディ | ★★★☆☆ | 設定と登場人物の日常とのギャップが楽しい |
| 気軽さ | ★★★★★ | 一話完結の短編なので寝る前にも読みやすい |
| 寝る前に読みたい度 | ★★★★★ | 短く区切って読めて、作品そのものが「夜」と相性抜群 |
| おすすめ | ★★★★☆ | 日常+少し不思議な短編が好きな人におすすめ |

寝る前に読むと穏やかな気分になれるからおすすめだよ。
こちらもおすすめ


